連載


― “初め”と“終わり” ― 
黒江 輝雄
 物事をやるにはすべて“初め”と“終わり”があります。
もっとも中途半端で諦めてしまう“途中下車”もあることはありますが、これは例外といっていいでしょう。


 ウオーキングも、これと同じようなものです。
例会に参加するには、決められた時間までに、指定された場所に集合します。
これから歩くコースの説明があり、準備運動のあと、いよいよ出発(スタート)です。いろいろな所を観歩しながら完歩すれば、終点(ゴール)に到着します。
「ウオーキングとは、スタートからゴールまでの完歩を目指すスポーツである。」といっても云い過ぎではないでしょう。

 人生とは、この世に生を受けてから、終わりを全とうするまでの間に、何度も“初め”と“終わり”を繰り返します。学校に入学するのは、一所懸命勉強して卒業するためです。新入社員も、一所懸命働いて最後は定年の日を迎えます。

 日々の生活で、大切なものの一つは、物事をやり遂げた時の満足感というか達成感です。
現役時代には仕事の面で、いろいろとつらいこともあったでしょうが、与えられた仕事を完成した時に味わう充実感を、何度も味わったことでしょう。

 現役を引退して、家庭に留まる時間が長くなると、どうしてもこの充実感を満たす機会が少なくなります。“生きがい”とはこの達成感・充実感によって決まってくるのではないでしょうか。

 一念発起、自分の趣味を生かして、油絵の大作を完成させようとか、今年はひとつ永年の夢だった、ピアノのレッスンに取り組んでみよう、などといった毎日の目標をもって、新鮮な気持ちで日々を過ごすことが大切でしょう。

 ウオーキングとは、そういった面で私達に“生きがい”という大事な機会を与えてくれているように思えます。
 皆さん、ウオーキングでは“途中下車”しないように頑張りましょう。